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広島高等裁判所 昭和50年(ツ)4号 判決

上告人(附帯被上告人)

平野兼男

右訴訟代理人

柴田治

被上告人(附帯上告人)

込山志げの

右訴訟代理人

車田輝平

主文

本件上告を棄却する。

本件附帯上告を却下する。

上告費用は上告人の、附帯上告費用は附帯上告人の、各負担とする。

理由

上告代理人柴田治の上告理由について。

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠に照らして肯認することができないわけでなく、右の認定判断の過程に所論のような違法はない。

所論は、ひつきよう、原審の専権に属する事実認定および証拠の取捨判断を批難するものに過ぎないから、採用することができない。

附帯上告について。

附帯上告においては、上告理由書の提出期限が上告受理通知書の送達を受けた日から五〇日とされていることとの権衡上、附帯上告が上告理由と独立した別個の理由に基づくものであるときは、当該上告についての上告理由書の提出期間内に原裁判所に附帯上告状を提出し、かつ、それまでに附帯上告理由書を提出することを要するものと解すべきである(昭和三八年七月三〇日第三小法廷判決、民集一七巻六号八一九頁以下参照)。

ところが。本件附帯上告が本件上告理由と独立した別個の理由に基づくものであること、および本件上告受理通知書が上告代理人柴田治に送達された昭和五〇年一月九日から五〇日を超えた後の同年三月一二日に、本件附帯上告理由書が原裁判所に提出されたことは、記録上明らかである。従つて、本件附帯上告はこれを却下すべきである。

よつて、民事訴訟法四〇一条、三九九条ノ三、九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(宮田信夫 高山健三 武波保男)

上告代理人柴田治の上告理由〈省略〉

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